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1. はじめに

サマータイム(Daylight Saving Time, 夏時間)は、主として春から秋にかけて標準時より時計を進めて運用する制度である。採否や切り替え規則は国・地域ごとに定められ、世界的な規則の履歴と現行運用は IANA tz database(tzdata)に集約され、各OSやプログラミング言語に配布されている。

2. どの国・地域が採用しているか

2025年時点では、欧州の大半、北米の大半、オセアニアの一部州、南米・中東・北アフリカの一部が採用している。一方、アジア・アフリカの多くの国々は不採用である。

3. 初めての導入はいつ・どこか

都市レベルの最初期の実施は1908年7月1日のカナダ・オンタリオ州ポートアーサー(現サンダーベイ)とされる。国家レベルの本格導入は第一次世界大戦期のドイツ帝国とオーストリア=ハンガリー帝国で、1916年春に開始された。

4. 切り替え日の時間の扱い

欧州は「3月最終日曜から10月最終日曜までを夏時間」、北米(米国・カナダの大半)は「3月第2日曜開始/11月第1日曜終了」など、各国政府や所管官庁が定めた日時に切り替えが発生する。春の開始時には、例えば「01:59の次が03:00」となり「存在しない時刻(nonexistent time)」が生じる。秋の終了時には同じローカル時刻帯が2回現れるため「曖昧な時刻(ambiguous time)」が生じる。欧州は01:00 UTC基準で域内同時に切り替え、北米は各タイムゾーンのローカル02:00で順次切り替える。


5. 廃止・恒久化の主な動向

メキシコは2022年に全国原則廃止(国境の一部例外)。トルコは2016年からUTC+3の通年運用(実質的な通年夏時間)。ロシアは2014年から通年標準時。シリアとヨルダンは2022年に季節切り替えをやめ通年夏時間に移行。エジプトは2016年に廃止したが2023年に再導入。モロッコは2018年の政令以降、通年UTC+1でラマダン期のみ一時的にUTCへ戻す。

6. サマータイムの問題点(知見の要約)

エネルギー節約効果は限定的または地域依存とする研究が多い。健康・安全面では、季節切り替えが概日リズムを乱すことへの懸念が強く、米国睡眠医学会(AASM)は「季節切り替えの廃止と通年標準時」を支持している。最近の大規模データ解析では心筋梗塞等との関連は小さいか不明確とする報告もあり、健康影響の大きさについては研究間で見解が分かれる。

7. システム設計における扱い方(実務指針)

多くの実務では、永続化や計算をUTC基準で行い、表示・入力にのみタイムゾーン(IANAのゾーンID、例: America/New_York)を用いる。欠落時刻・曖昧時刻の検出と解決はライブラリの機能を用いる。Python 3.6以降ではPEP 495で導入されたfold属性により秋の曖昧時刻の二者を区別できる。反復ジョブやカレンダー機能は、UTC基準でのスケジューリングを基本とし、ローカル時刻での繰り返しは切替境界でのスキップや二重実行の扱いを仕様として明記する。tzdataの更新はリリース運用に組み込み、切替境界の回帰テストを行う。

余談

本サービス・ログツーにタイムゾーン変更機能を導入するにあたり、サマータイムについての理解が必要だったので調べてみました。

学習時間の手動追加機能で、「存在しない時刻や曖昧な時刻をどう扱ったらええんや!」と頭を抱え、泣く泣く例外処理を実装しました。

日本に住んでると馴染みがないですが、日本にサマータイムがなくてよかったと思いました。

サマータイム導入日は「今日から半年間、一時間早く来い!」って実質言われてるようなもので、なかなかつらそうですね。

参考


(2025年10月21日現在の情報・AIを活用したまとめ)


目次

    サマータイム(DST)の概要 | ログツー