平均年収と外れ値の影響:フェルミ推定で考える

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1. サンプルを増やすと平均は上がるのか?

統計的に「平均値は外れ値に敏感(non-robust)」であることが知られている。
所得分布のように下限は0だが上限は理論的に無限という場合、サンプルを増やすほど「より大きな外れ値(超高額所得者)」を引く確率が高まる。
このため、直感的には「標本を増やすほどに平均値は上振れするのではないか」と考えられる。

ただし、この効果が実際の集計でどの程度の大きさを持つのかは別問題である。

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2. フェルミ推定:年収100億プレイヤーがどのくらいいれば影響するか

前提を次のように置く。

  • 給与所得者数:約 6,000万人
  • 通常の平均年収:約 500万円
  • 超高額所得者の年収:100億円

    平均年収は次の式で表せる。

    ここで  は100億円所得者の人数。

影響の換算

1人の100億プレイヤーが押し上げる平均値は

  • 100人:+1.7万円
  • 1,000人:+16.7万円
  • 1万人:+167万円

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3. 結論:ほぼ誤差

平均を「100万円」単位で動かすには、10,000人以上の年収100億円プレイヤーが必要になる。

しかし、実際にはこんなに存在しているはずもなく、平均年収に与える影響は統計的には誤差レベルにとどまる。

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まとめ

  • 所得分布は上側に外れ値が出やすいため、サンプルを増やすほど平均がわずかに上振れする傾向はある。
  • しかし、日本全体規模の統計では「億単位の所得者」の影響はごく小さく、平均年収を数万円程度しか押し上げない。
  • 代表値としては中央値の方が実感に近い指標となる。

    結論:直感的にやや歪みそうだが、現実にはほぼ誤差である。


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