二次方程式の解の公式を導出してみよう!
二次方程式を解くときに非常に便利な「解の公式」。多くの人が一度は暗記したことがあると思いますが、なぜあの形になるのか、考えたことはあるでしょうか?
この記事では、二次方程式の解の公式を「平方完成」という手法を使って、ステップバイステップで導き出していきます。この記事を読み終わるころには、解の公式がもっと身近に感じられるはずです。
そもそも二次方程式とは?
まずはおさらいです。
二次方程式とは、変数の最も高い次数が2である方程式のことで、一般的に次の形で表されます。
ただし、、、 は定数(数字)で、 というルールがあります。
この式を満たす の値を見つけることが「二次方程式を解く」ということです。
そして、この方程式の解を求めるための万能な公式が、この公式です。
それでは、この公式を導き出していきましょう。
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解の公式の導出:平方完成マスターへの道
ここからが本番です。 という式を、ゴールである解の公式の形まで変形させていきます。使う道具は「平方完成」というテクニックです。
「平方完成」とは、「二乗の形を作る」ことを意味します。高校数学で初出する言葉ですが、考え方は中学数学の範囲内です。
(高校入試において、「解の公式の導出」そのものが出題されたこともあるそうです)
Step 1: 下準備(定数項の移項と の係数を1にする)
まずは、式を扱いやすくするために少し整理します。
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定数項 を右辺に移動させます(移項)。
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次に、 の係数 で両辺を割ります。これで の係数が になり、平方完成しやすくなります。
Step 2: 平方完成で式を変形する
ここが重要なポイントです。左辺を という形(平方)に変形します。
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そのために、両辺に「 の係数の半分の2乗」を加えます。
の係数は なので、その半分は 、さらにその2乗は となります。これを両辺に加えます。
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これにより、左辺を因数分解して、すっきりした形にできます。
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右辺も計算を進めるために、分母を にそろえます(通分)。
これで、ゴールに大きく近づきました。
Step 3: あと一息! について解く
平方の形ができたので、あとは の形にするだけです。
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左辺の2乗を外すために、両辺の平方根をとります。「±」(プラスマイナス)を付け忘れないように注意してください。
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右辺のルートの中身は、分母と分子に分けることができます。 は になるので、このようになります。
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最後に、左辺の を右辺に移項すれば、完成です。
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分母が同じ なので、一つの分数にまとめることができます。
ついに、解の公式が導き出されました。
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まとめ
今回は、二次方程式 を「平方完成」することで、解の公式を導きました。
一つ一つの式変形は、中学校で習う基本的な計算の組み合わせです。
解の公式の導出ステップ
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定数項を移項し、両辺を で割る
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両辺に を加えて平方完成する
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平方根をとり、 について解く
この流れを理解しておけば、公式を忘れてしまっても自分で作り出せるようになります。
解の公式は、単なる暗記項目ではなく、論理的なステップの積み重ねで生まれる美しい数式なのです。
以下の記事では、二次方程式の「3つの解き方」の解説も行っています!
「3つ」と聞いてピンとこない方は、ぜひご覧ください。